2022年マンガの総決算!マンガファンが本音で選ぶ、今年のすごいマンガランキング決定版です。
『オトコ編』の1位から9位(同9位2作)をご紹介します。
『オトコ編』TOP10
『光が死んだ夏』 モクモク れん(KADOKAWA)
ホラー
『光が死んだ夏』
©モクモク れん/KADOKAWA
あらすじ
ある集落で暮らす少年、よしきと光。同い年の2人はずっと一緒に育ってきた。 しかしある日、よしきが光だと思っていたものは別のナニカにすり替わっていたことに確信を持ってしまう。 それでも、一緒にいたい。 友人の姿をしたナニカとの、いつも通りの日々が始まる。 時を同じくして、集落では様々な事件が起こっていき――。 新進気鋭の作家・モクモクれんが描く、未知のナニカへ堕ちていく物語、開幕
何とも言えない感覚に陥る作品です。怖いというよりは不気味、不気味なんだけど愛おしい、読めば読むほど不思議な感覚にとらわれます。
田舎の普通の学生の暮らしの中で友人の姿をしたナニカだとわかっていながらも、互いに執着してしまう感情が痛々しく伝わってきます。
これからの二人の関係が友情なのか愛情なのか気になりますが、どちらにせよ、それほど想える人と出会えることが素敵です。
『さよなら絵梨』 藤本 タツキ(集英社) 全1巻
ヒューマンドラマ
『さよなら絵梨』
©藤本 タツキ/集英社
あらすじ
私が死ぬまでを撮ってほしい――病の母の願いで始まった優太の映画制作。母の死後、自殺しようとした優太は謎の美少女・絵梨と出会う。2人は共同で映画を作り始めるが、絵梨はある秘密を抱えていた…。現実と創作が交錯しエクスプローションする、映画に懸けた青春物語!!
スマホで撮影しているかのようなコマ割りが、まるで本当の映画を見ているかのような錯覚に陥るほど、独特の世界観に引き込まれます。ストーリーが二転三転し、先が全く見えないストーリー展開に心と頭は「ぐにゃんぐにゃん」、どんどんハマっていきます。全てにおいて完璧に計算された圧巻の作品です。
『タコピーの原罪』 タイザン5(集英社) 全2巻
SF・ファンタジー / ヒューマンドラマ
『タコピーの原罪』
©タイザン5/集英社
あらすじ
地球にハッピーを広めるため降り立ったハッピー星人・タコピー。助けてくれた少女・しずかの笑顔を取り戻すため奔走するが、少女を取り巻く環境は壮絶。無垢なタコピーには想像がつかないものだった。ただ笑って欲しかったタコピーが犯す罪とは…!?
宇宙から来た生物・タコピーのファンタジー感と現実社会の暗く重い題材が絡まり展開していく作品。
様々な悪意が入り乱れる地球でタコピーはハッピーにするために奮闘するが裏目に出てしまう。
序盤から胃がキリキリと痛むような現社会の闇にリンクする内容ですが、是非とも最後まで読んでほしい。
『あかね噺(ばなし)』 原作/末永 裕樹 作画/馬上 鷹将(集英社)
ヒューマンドラマ
『あかね噺(ばなし)』 ©末永 裕樹 / 馬上 鷹将(集英社)
あらすじ
その身一つと噺だけで全てを表す、話芸の極致――「落語」。
幼い頃、噺家である父・阿良川志ん太の魔法の様な落語に魅せられた朱音。真打昇進試験に挑む志ん太、父のある一席を機に自身も噺家としての道を歩み始める。17歳になった朱音が目指すのは、落語界の最高位「真打」になること。
2022年11号から連載が開始した『あかね噺』の魅力は、なんといっても落語が飛び出てくるかのような描写です。読んだ瞬間、度肝を抜かれました。作中で落語シーンが幾度も出てきますが、落語が聞こえてくる錯覚さえ覚えるほど見事に表現されています。
落語だけではなく、落語界の最高位「真打」になるという強い志を持って突き進む女子高生の朱音の強い想い、見返す挑戦するといった熱血要素もコミカルに描かれていて、落語がわからない方でも楽しく読める作品です。2022年注目している作品の1つです。
『劇光仮面』 山口 貴由(小学館)
ヒューマンドラマ
『劇光仮面』
©山口 貴由/小学館
あらすじ
これは星をつなぐ者たちの物語である。
僕は何者でもない。僕は器に過ぎない。――それこそが僕の強さだ。
そんな想いを胸に秘め、29歳の青年、実相寺二矢はアルバイトで日々を暮らす。
舞台は「現代」、テーマは「特撮」、主人公は“何者にもあらず”!?!?
大学時代のサークル「特撮美術研究会」の同士だったメンバーが死去し、遺言の儀式を果たすために集まる。
特美への熱意が伝わってくる作品で、その何とも言えない熱量に引き込まれてしまいます。
特撮ものを知らない方でも違う観点で楽しめる作品です。
『これ描いて死ね』 とよ田 みのる(小学館) 全6巻
ヒューマンドラマ
『これ描いて死ね』
©とよ田 みのる/小学館
あらすじ
東京の島しょ・伊豆王島に住む安海 相は、漫画が大好きな高校1年生。
長年活動休止状態の憧れの漫画家☆野0先生がコミティアに出展することを知り、東京都区内に旅立つことに…
そしてコミティア会場での思わぬ出会いが相の人生を変える!
漫画家にはどうやったらなれるのか?
知っているようで知らない漫画創作の世界。
この物語は、その世界に続く“まんが道”へ踏み出していく少女の物語。
マンガは読むだけではなく“描く”ことも出来るんだ!!
漫画家を目指している人にも、かつて目指していた人にも、漫画が好きな人にはもちろん、漫画を毛嫌いしている人にも、漫画を読んだことがない人にだって絶対に読んでもらいたい漫画の漫画ッ!!
その通りです!!
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』 地主(スクウェア・エニックス)
ヒューマンドラマ
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』
©地主/スクウェア・エニックス
あらすじ
社畜街道をひた走る、くたびれ中年男性の佐々木。
彼のひそやかな癒しといえば、日ごろから愛煙する煙草と、行きつけのスーパーで働く女性店員 山田さんのにこやかな接客くらい。
仕事に疲れたある夜、癒しを求めてスーパーに向かうが、目当ての山田さんはおらず、今どき煙草を吸える場所もなし…。
意気消沈した佐々木に「ここなら吸える」と声をかけてきたのは、すこし奇抜な服装をした田山という女性だった――。
行きつけのスーパーで働く女性店員の接客に癒しをもらい、日々社畜として働く中年男性。
偶然の出会いで、たまに煙草を吸いながら話をする仲に。
疲れ切った中年の佐々木ですが、なんだかホッとする存在で癒されます。
男性、女性問わず、たばこを吸う吸わない問わず、自宅や会社以外でこういう場所でちょっとぼやける関係って羨ましく感じます。
ヤニ仲間となりつつある二人の展開が気になります。
『ONE PIECE』 尾田 栄一郎(集英社)
バトル・アクション / アドベンチャー
『ONE PIECE』
©尾田 栄一郎(集英社)
あらすじ
富・名声・力、この世の全てを手に入れた伝説の海賊王G・ロジャーが遺した『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』を巡って、幾人もの海賊達が争う大海賊時代。小さな港村に住む少年モンキー・D・ルフィもまた、海賊に憧れ、海賊王を目指すひとり。ここから少年の大いなる旅が始まる。
1997年に連載が始まり、今やジャンプの王道マンガと言っても過言ではない国民的人気マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』。1999年からはアニメ化され、早20年以上が経った今でもその人気を保ち続け、映画はもちろん、海外でも絶大な人気を誇る作品となっています。
『ONE PIECE(ワンピース)』の魅力は何といっても、ルフィやその仲間たちのキャラの濃さ、そしてキャラクターたちが抱く各々の目的や希望ではないでしょうか。
この作品には、夢や希望、立ち向かう勇喜はもちろんですが、挫折や劣等感といった内容も表現されています。その中でルフィが仲間たちにかける言葉に、毎回心打たれます。
『正反対な君と僕』 阿賀沢 紅茶(集英社)
ラブコメ
『正反対な君と僕』
©阿賀沢 紅茶/集英社
あらすじ
元気いっぱいだけど周りの目を気にしてしまう鈴木は、自分の意見を言える物静か男子・谷くんに絶賛片思い中。
だが周りの目が気になって普通に接せず、いつも谷くんにダル絡みばかり…。
しかしある日勇気を出して、一緒に帰ろうと誘ってみたところ…!?
共感マックスの等身大ラブコメ、開幕!!
明るく元気な鈴木と物静かな谷。
見た目や周りから見える二人は正反対で元気な鈴木がリードしていくかのように思えますが、谷君はしっかり自分の意見を言える男の子なので、案外中身はピタッとかみ合う二人です。
見た目ギャルと真面目君の純愛に胸キュン!等身大学園ラブコメの本作品は気負うことなく楽しく読める作品です。
『緑の歌 - 収集群風 -』 高妍(KADOKAWA) 全2巻
ラブストーリー
『緑の歌 - 収集群風 -』
©高妍/KADOKAWA
あらすじ
台湾・台北で暮らす少女・緑(リュ)は、日本の文化を通じて新しい世界と出逢う。
見たことのない景色。初めての感情。
そして不思議な少年と夢に。
まるで、風に吹かれるように。
これは音楽を愛し、物語に救われたひとりの少女と、あなたの物語。
ゆるりと進んでいくストーリーを読み進めていくと観世に吹かれているような何とも言えない感覚に陥る。
作品の世界を邪魔しないように自分自身もその世界に溶け込み、主人公・緑の日常を横で見ているかのようなノスタルジックな気分になる作品です。